2026/09/22

(NO.1872) ありがたや、月山の旅  小山伸二

芭蕉が旅した出羽三山をめぐりから、鼠ヶ関、関川の羽越しな布の里と9月前半の旅は無事に終わった。 

ただの旅ではなかった。

まずは、ことし5年目となる月山登山。

そして、5年前にある山伏の追悼のイベントを一緒にしてくれたフランス・ブルターニュから飛んで来てくれたミュージシャン仲野麻紀さんとの5年ぶりの共演。

ぼくは、昨年出版した詩集『月の山』を、彼女はこの9月にリリースしたばかりの『月の山 Mont Lunaire』をたずさえて。

ぼくが詩を読み、そこに彼女がサックスの即興演奏を重ね、展開していく。

彼女のサックスは100年前のアメリカ製だ。

100年前のサックスの音が、鼠ヶ関の101歳になる灯台で、関川の古民家、鶴岡市の92年前に建てられた鉄筋コンクリートの建物「旧小池薬局恵比寿屋本店」で、熟成された見事な響きを鳴らしてくれた。

ぼくの詩は、どれも死んでしまった人を想い書いたものばかり。そんな詩集『月の山』にインスパイアされて生まれた麻紀さんのCD『月の山 Mont Lunaire』。

ことばが、音楽が、死者に、そして、生者に届くように。

そして、演奏旅行の白眉は、出羽三山神社の本殿の公式奉納演奏。

死者を悼み、生者の魂を揺さぶる音が社殿の隅々まで響き、しみわたった。

なんとも、得難い、ありがたい、月山、鶴岡の旅でした。

そして、この旅は、9月25日より再び、福岡・那珂川、熊本・水俣、鹿児島・鹿屋を巡ることになる。

月の山の旅は、まだ、はじまったばかりだ。

 


2026年9月21日  小山伸二