2026/10/26

(NO.1881) 朝湯で温まって 山田雄正

 

紅葉の美しい季節になったら訳ありの女を連れて、 

北陸の小さな温泉宿にでも連泊するのが何よりだろう。 

 

秋の夕日はつるべ落とし。

ストンと日が落ちて夜になれば、

酒を呑む時間が早くなり長くなる。

 

地魚の刺身や湯豆腐などの酒肴で一杯やれば、

ゴクッと燗酒が喉を鳴らす。

ジワッと胃袋が熱くなる。

 

「どうだ、一杯やろうか」

 

女にも酌をする。

秋の夜長は日本酒に限る。

 

豆腐のような白い肌がほんのりと赤みを帯びる。

 

「おっ、紅葉になったな」

 

いろいろあったが、いろいろと忘れていく。

運が悪ければ努力などまったく意味がない。

 

ゆっくりと起きた朝は朝湯で温まって、

そしてまた朝酒で迎えにいったりする。

 

詐欺、円安、サイバー攻撃、テロ、戦争・・

 

世の中がどうであれ、

現世の今を楽しんで生きている奴が何より強い。

 

 

26/神無月/2026      山田 雄正