昭和の喫茶店のメニューにはナポリタン、オムライス、
生姜焼き定食などがあって、
店の隅にはゴムの木などの観葉植物が置いてあった。
昭和の家の飾り棚には熊が鮭を咥えている木彫りが置かれ、
『仲よき事は美しき哉』と書かれた、
武者小路實篤の複製の色紙が壁に飾られていた。
昭和の時代の労働組合は今より強く活発で、
ダンスパーティーやソフトボール大会などを積極的に行い、
春闘のストライキは年中行事のように決行していた。
慰安旅行は数少ない娯楽のひとつだった。
宴会、麻雀、お座敷ストリップ・・
酔っぱらって大浴場の洗い場のタイルの上で、
裸のまま朝まで寝込んでいた猛者もいた。
仕事は土曜日も平日通りの勤務で毎日が残業だった。
日曜日は疲れ切っていつも夕方まで熟睡していた。
「頑張らなくっちゃ」
テレビから励ますようなCMが流れていたが、
サラリーマンは誰もがヘトヘトに疲れていた。
昭和の高度経済成長は、
高く連なる“疲労の山脈”のようなものだった。
15/水無月/2026 山田 雄正