のろのろしている間に、新年も1月が過ぎた。
ほろ酔いの旅はつづいているが、さくさくと、ぼくのコラムはつづかない。
さて、新年、ひと月かけて、雑誌を作っていました。
副業と呼んでいいのかわからないけど、小さな出版をやっていて、これまでに詩集5冊、詩と思想の雑誌3冊、画本(セリフのない漫画)1冊、文芸書を中心にしたブックレビュー1冊と、コーヒーを巡るエッセイ集1冊。
足掛け5年で、この11冊を出版した。いわゆるマイクロ出版社、だ。
なりは小さい出版社だが、ISBNコード(国際標準図書番号)も取得して、一部の本は、町の本屋さんにも並んでいる。
その出版社の名前を書肆梓と名付けたのだが、この書肆梓から出版物の宣伝・告知をかねて、冊子を作ることしたのだ。
冊子名は「cloud nine magazine」。
9番目の雲のうえで、幸せにうかれていることを、アメリカのスラングで「cloud nine」というそうだが、そこから名前をとって、雑誌名にした.
クラウド・ナイン。
なんとなく語感も好きで、いつかコーヒー屋をやるなら(ま、そんな予定はないんだけど)、屋号は「クラウド・ナイン・コーヒー」がいいな、なんて思っていた。
さて、「cloud nine magazine」創刊ゼロ号は、特別にフリーマガジンとして、書店さんやカフェに置かせてもらおうと思っている。
せっかくなので、9にこだわって、9人の書き手に、それぞれの思いを9番目のうえの雲のうえで、ちょっとうかれて、調子に乗って、書いてもらおうと思って原稿依頼をした。
詩人、カメラマン、旅行作家、ライター、デザイナー、地域プロデューサー、コーヒー焙煎家など、バラエティー豊かな9人「クラウド・ナインナーズ」の最新の作品を集めることができました。
好きなことをみんなそれぞれに趣味も含めてやっているわけだけど、ときに、自分の本業(ひとまず、それで生計を立てている)とは少し違う場所で、違うことに挑戦する。
あるいは、お金とか、生活ではない、「人生」と言ってもいいような、余計だけど、なくてはならないものを、日々の生活のなかから時間を捻出して、情熱を傾ける。そんなひとの仕事を、本(あるいは雑誌)という形で出版していけたらと、考えている。
「cloud nine magazine」が、そんなひとを少しずつ紹介する定期刊行物に育ってくれたらと、ひそかに思っている。
出版という言葉は、日本語では出帆と同音になるが、まさに、纜(ともづな)を解いて海に漕ぎ出すように、本も出版することで、知らないひとが待っていてくれる港へ、詩や言葉や写真を届けられたらな、と。
そのためにも、本を売って、読者に届けてくれる町の「本屋さん」との連携をますます大切にしていかなくては、と思っています。
というわけで、新年も1月も過ぎましたが、本年の決意表明をここに記して、まあ、今年もほろ酔い気分でこの時代の風の中を歩いていこう。
2020年2月3日 小山伸二