朝駆けに、我が家の小庭を見やると、梅子姐さんが髪を逆立てて怒っています
「私をほったらかしにしてぇ~、いったいぜんたい、どうしてたんだい。」
「あれやこれやと忙しくてなぁ、許してくんねぇ。」
そぉーと、わきの下に手をやると、可愛い顔した梅の実が、ニィーと笑いかけてきました。
「おー、いつの間にか大きくなったの~梅酒でも作ってもらおうかい。」
「樹木たちの手入れを、何よりも楽しみにしている、俺としたことがなぁ~」
ちょっと目を離した隙に、自慢の小庭は荒れ放題であります。
樹木たちは、少し手を入れるだけで、表情がぐっと引き締まったり、柔らかくなったりするものです。
しかし、春には枝がぐんぐん伸びて、乱れ髪の様相になりますが、初夏を過ぎるころには、ほったらかしにしていても、樹木本来の姿形が現れてきて、見違えるような美形になります。
この移り気と、自然界のゆったりとした包容力が、樹木鑑賞家にとっては、たまらない魅力であります。
これからも、樹木たちとじゃれ合って、気儘に良く活きていきたいものと思っています。
2025年6月1日 森内政美