2025/06/11

(NO.1730) 樹木たちとの戯れ   森内政美

朝駆けに、我が家の小庭を見やると、梅子姐さんが髪を逆立てて怒っています 

「私をほったらかしにしてぇ~、いったいぜんたい、どうしてたんだい。」  

「あれやこれやと忙しくてなぁ、許してくんねぇ。」 

そぉーと、わきの下に手をやると、可愛い顔した梅の実が、ニィーと笑いかけてきました。

「おー、いつの間にか大きくなったの~梅酒でも作ってもらおうかい。」

「樹木たちの手入れを、何よりも楽しみにしている、俺としたことがなぁ~」

ちょっと目を離した隙に、自慢の小庭は荒れ放題であります。

樹木たちは、少し手を入れるだけで、表情がぐっと引き締まったり、柔らかくなったりするものです。

しかし、春には枝がぐんぐん伸びて、乱れ髪の様相になりますが、初夏を過ぎるころには、ほったらかしにしていても、樹木本来の姿形が現れてきて、見違えるような美形になります。

この移り気と、自然界のゆったりとした包容力が、樹木鑑賞家にとっては、たまらない魅力であります。

これからも、樹木たちとじゃれ合って、気儘に良く活きていきたいものと思っています。

 


202561日             森内政美