フライハーネス地方の2つ目の農園はパンピンチン農園。農園主はポール・スターリー(47)。農園はフライハーネス地方のアマティトラン湖を望む風光明媚な高台にあり1962年にスタート。現在は農園全体で70ヘクタール、内35ヘクタールでコーヒーが栽培させています。栽培されている品種は主にブルボン、他にティピカ。標高は1400~1500m。マイクロ・クライメイト(局地的気候)で同じフライハーネス地方でも全然違うそうです。パンピンチン農園のある山はアマティトラン湖をグルッと囲む馬蹄のような山並みで、アマティトラン湖から吹き上げられる湿った風がコーヒーに良く、味自体も他のフライハーネス地方のコーヒーとは一線を画しているそうです。現在ポールはフライハーネス・コーヒーではなくアマティトラン・コーヒーとしてプロモーションした方が良いのではないかと近隣の農家と相談中だそうです。ちなみのこの「パンピンチン」と言う言葉ですが、現地インディオの言葉マヤ語で1540年頃に実在した街の名前だそうです。
この農園から直線距離にして5km程いったところにパカヤ火山があります。グァテマラでも一番元気な活火山です。その火山が3ヶ月位前に噴火。辺り一面火山灰(灰と言うよりも石です)に覆われ、火山灰によってコーヒーの葉やチェリーに深刻なダメージを受けたそうです。葉はボロボロになりチェリーもかなり傷ついたようです。噴火以降に生えた葉と噴火の被害にあった葉では違いが一目瞭然です。徐々に噴火からのダメージがいえつつある中、今度はこの豪雨で踏んだり蹴ったりだそうです。この辺りは年間の降雨量が平均1000㎜程度なのに対し今年はすでに2000㎜を超え、しかも雨季はまだ終わっていないと言った状況です。眼下に見えるアマティトラン湖も大変な事になっているそうです。
この農園の生産量は約1,000袋。敷地面積の割には非常に効率良く収穫しているようです。また農園主のポールは何でも良いと思うものは取り入れ、自分で作ってしまうそうです。ベリーボーラートラップもポールのお手製です。収穫期は1月前半~3月末まで。常時35名の従業員がいますが、収穫時は100家族位(1家族3名位と考え計300名位)の人が農園で働くそうです。何かとコダワリの強そうなポールは収穫時もただチェリーが赤いのではなく、チェリーの糖度が糖度計で18~21%になったら収穫するそうです。今はまだ常に上を目指し、試行錯誤しているようです。前出の農園とエライ違いです。頭が下がります。