ミトコンドリアは真核生物の進化においてほぼ必須の共生相手です。前回、「緑茶に多いマンガンはミトコンドリアの錆を磨いてくれる栄養素」について話しました。では、他にもミトコンドリアが欲しがっている栄養素はあるでしょうか?
あります!野菜や果実に多いポリフェノールです。これがあると、細胞の成分であるAMPKというタンパク質が元気になります。次に、代謝系のハブと言われるNADが元気になって、その次には長寿タンパク質として有名になったサーチュインが元気になります。
AMPKとNADは細胞質にありますが、サーチュインは細胞核にあります。言いたいことは、どちらもミトコンドリアの成分ではありません。ではどうやってミトコンドリアを元気にするのでしょうか?
サーチュインは同じ核の中で、PGC-1αを元気にします。このPGC-1αこそが細胞とミトコンドリアを繋ぐ橋になっているのです。PGC-1αは先ず初めに、ミトコンドリアに入り込めるように設計された分子TFAM(ミトコンドリア転写因子)を作ります。そのTFAMがミトコンドリアに入り込むと、ミトコンドリアが元気になるし、時には新しいミトコンドリアが出来てくるというのです。
以上は非常に複雑な工程ですが、筆者が言いたいことは、ミトコンドリアが細胞との共生を成功させるためには、細胞がもっている複数のタンパク質を自分のために役立たせる必要があるということです。例えて言えば、結婚相手にYesと言って貰うには、相手の親や兄弟など大切な人たちを見方につけることと同じです。昔の人は、「搦手から落とす」と言いました。仲を取り持つスパイが居たか居なかったか・・・それは未だわかっていません。
2026年8月3日 岡 希太郎