2026/03/23

(NO.1818) 小泉八雲の見た世界    山田雄正

 

NHKの朝ドラ『ばけばけ』は、 

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の暮らしとその生涯を描いた物語である。 

 

日本を愛した小泉八雲は様々な日本の文化を英訳している。

 

『古池や蛙飛び込む水の音』

 

芭蕉の有名な俳句もこのように訳している。

Old pound frogs jumped in sound of water.

 

だが、気になるのは蛙をfrogsと、複数形に訳していることだ。

 

日本人の感性だと、一匹の蛙がポチョンと水に飛び込んだ音に

侘しさを感じたりするものだが、

ポチョン、ポチョン、ポチョンと何匹もの蛙が飛び込んでは、

騒がしいだけで全てが台無しになる。

 

小泉八雲はその繊細な情緒までは理解できなかったのだろうか。

それでもfrogsと複数形にしたのには、何か他に意味があるのかもしれない。

 

人の世の滑稽、矛盾、不条理、欲望、情愛などの他に、

人の命の儚さ、虚しさなどをfrogsと、複数の蛙に含ませたとしたら、

それはまた別の深い意味を示していることになる。

 

その含ませた意味に触れると、

小泉八雲の見た世界に近づいたような気分になるものである。

 

 

23/弥生/2026       山田 雄正