NHKの朝ドラ『ばけばけ』は、
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の暮らしとその生涯を描いた物語である。
日本を愛した小泉八雲は様々な日本の文化を英訳している。
『古池や蛙飛び込む水の音』
芭蕉の有名な俳句もこのように訳している。
Old pound frogs jumped in sound of water.
だが、気になるのは蛙をfrogsと、複数形に訳していることだ。
日本人の感性だと、一匹の蛙がポチョンと水に飛び込んだ音に
侘しさを感じたりするものだが、
ポチョン、ポチョン、ポチョンと何匹もの蛙が飛び込んでは、
騒がしいだけで全てが台無しになる。
小泉八雲はその繊細な情緒までは理解できなかったのだろうか。
それでもfrogsと複数形にしたのには、何か他に意味があるのかもしれない。
人の世の滑稽、矛盾、不条理、欲望、情愛などの他に、
人の命の儚さ、虚しさなどをfrogsと、複数の蛙に含ませたとしたら、
それはまた別の深い意味を示していることになる。
その含ませた意味に触れると、
小泉八雲の見た世界に近づいたような気分になるものである。
23/弥生/2026 山田 雄正