2026/03/02

(NO.1811) 補酵素NADの話はむずかし過ぎる 岡 希太郎

NADとは、ミトコンドリアの中で糖分や脂肪をエネルギーに変える役目を担っている。年を取ると減ってしまい、老化や加齢性の病気の原因になることが分かっている。その大事なNADの働きを一般の人に分かるように説明することはかなり難しい・・・いや、難し過ぎると言われている。 

誰がそう言ったのかというと、筆者の「コーヒーと健康」の記事を文藝春秋、プレジデント、ダイヤモンドなどに掲載してくれた女性ライター氏が言ったのだ。「そんなに難しいですか?」と聞いてみたら、「一般人は難しい記事は呼んでくれません!」とつれない返事だった。 

そういえば、女性自身2月号の男性記者の取材では、ごく最近の著名な学術誌で読んだ話をしたのだが、送られて来た雑誌を見たら、そんなことは何処にも書いてなくて、大見出しに「深煎りコーヒーは白内障を予防する!」となっていた。ついでに話したネズミの実験が週刊誌向きだったのだ。

「飲めばNADになってエネルギーを生み出して元気で長生き」との謳い文句で売れているサプリメントNMN、これはほとんどウソの話だったという論文が、1月のネイチャー誌に載っていた。多くの人が信じ込んで、自己責任の自由診療で、高いお金を払って注射してもらうというNMNなのだが、飲んでもNADになることはなく、腸内菌の餌になるだけだと書いてあった。

その腸内菌がNMNを食べて何をしているかというと、食べて/分解して/ビタミンB3のナイアシンアミドに変えて、それを自らの栄養にして、菌は分裂して仲間を増やしているというのだ。そして使い終わったナイアシンアミドをナイアシンに変えて菌体の外に放出する。そしてそしてそのナイアシンを人が吸収すると、主に肝臓でNADに変わるのだ。難しい手品の種明かしみたいな凄い論文だった。筆者はこれを読んで、それこそビックリしたなあもう・・・と感動した()

ところがこの日本では、この話を理解して、「それなら安いビタミン剤のナイアシンを買おう」とドラッグストアへ行っても、なんと「そのお薬は販売中止になりました。代りにナイアシンアミドがありますよ」と、腸内菌の餌を勧められることになってしまう。これはもう笑い話どころの話ではありません()

 

2026年3月2日  岡 希太郎