2026/01/26

(NO.1802) 本なんか読まない    山田雄正

 

電車の中で女学生が文庫本を読んでいたりすると、 

訳もなく嬉しくなってしまうものだ。 

 

書物というものは、読むべき年齢に読まないと意味がない。

 

食した果実の甘味や酸味に新鮮な驚きを感じるのは、 

若い時だけに限られている。 

 

取引先の会社の新入社員が挨拶に来た時に

「どんな本を読みましたか」と訊いたことがあった。

 

その新入社員はためらうこともなく、

「少年ジャンプです」と答えた。

 

会話はそこで終った。

 

ある商社の部長と酒を酌み交わしていた時のことである。

日露戦争が酒の肴の話題になったので『坂の上の雲』の小説のことを話したら、

「何ですか、その雲というのは・・」と部長が訊き返してきた。

 

会話はそこで途切れた。

 

大手商社の部長の役職に就いている男だが、

司馬遼太郎の著書は一冊も読んだことがないという。

一冊もである。

 

その部長が率いる部門は、

何年も赤字が続いて廃部の危機に陥っている。

 

当然だろう。

 

 

26/睦月/2026      山田 雄正