秋桜”と書いてコスモスと読ませるこの歌は、
さだまさしの作詞作曲によるもので、山口百恵が歌ってヒットした。
♪~
うす紅の秋桜が秋の日の 何気ない陽だまりに揺れている
この頃涙もろくなった母が 庭先でひとつ咳をする
咳ひとつでこれほど効果的に寂寥感を表現した歌は他にない。
母親を残して嫁ぐ娘の心境が伝わり、
父親とは早くに死別したような想像まで広がって来る。
娘を嫁がせた日の夕暮れに、父親が居酒屋のカウンターでしんみりと
酒を呑んでいるとしたら、その背中は誰が見ても寂しく見えるに違いない。
それでも「ハクション」と、大きなくしゃみを放ったりすれば、
ユーモラスなだけに、母親の咳とは違った寂寥感に包まれることだろう。
父親の存在とは、こんな程度で良いのではないでしょうか。
14/神無月/2025 山田 雄正