2025/10/14

(NO.1771) 秋桜の歌 山田雄正

秋桜”と書いてコスモスと読ませるこの歌は、 

さだまさしの作詞作曲によるもので、山口百恵が歌ってヒットした。 

 

♪~

うす紅の秋桜が秋の日の 何気ない陽だまりに揺れている 

この頃涙もろくなった母が 庭先でひとつ咳をする 

 

咳ひとつでこれほど効果的に寂寥感を表現した歌は他にない。

 

母親を残して嫁ぐ娘の心境が伝わり、 

父親とは早くに死別したような想像まで広がって来る。

 

娘を嫁がせた日の夕暮れに、父親が居酒屋のカウンターでしんみりと

酒を呑んでいるとしたら、その背中は誰が見ても寂しく見えるに違いない。

 

それでも「ハクション」と、大きなくしゃみを放ったりすれば、

ユーモラスなだけに、母親の咳とは違った寂寥感に包まれることだろう。

 

父親の存在とは、こんな程度で良いのではないでしょうか。

 

 

14/神無月/2025         山田 雄正