2025/10/14

(NO.1770) 長崎くんち! 小濱綱之

秋田県では今月6日から12日まで、7日間連続でクマの人身被害が発生している。とにかく今年はクマ目撃情報が日々50件以上、いまだかつてなかったことが起きている。そのようなさなか、私と妻は先週6日から8日まで長崎へ旅行していた。今回は「長崎くんち」を観覧するため14名のツアー、7日に「長崎くんち」を朝7時から諏訪神社の境内の升席で観覧、10時までいろんな演し物を観賞した。我々ツアーの席は中段に位置し、4人席の升席に2名で使うゆとりある席だったが、演者の足元が前の観客で見えず、上半身だけ見て愉しむ不満足な3時間だった。面白味と迫力が半減しテレビ観賞で十分だった。

「長崎くんち」の踊り町は諏訪神社の氏子にあたる各町が演し物と呼ばれる様々な演目を奉納、現在43町あり、これが5~7町ごとに7組に分かれ毎年奉納する。その年に当番になった組の町を踊り町(おどりちょう)と呼び、当番は7年に1回まわってくる。すべての演し物を見るには7年間かかる計算になる。

また、それぞれの演し物には観客から掛け声があり、演者と観客が一体になる瞬間である。「モッテコーイ、モッテコーイ」首を長くして待ってるぞ、早く来い来い、またはアンコールの意味、「ヨイヤー」良い哉、素晴らしいの意味、他には「ショモーヤーレ」「フトーマワレ」などがある。

「長崎くんち」は長崎市民にとって、生き甲斐のひとつであり長崎の誇りである。毎年10月7日から9日は子供から大人まで「長崎くんち」のために2月から練習に励み、本番には仕事も学業も忘れ「長崎くんち」に集中する。一度演者の経験をするとやめられないという、私も見ているより演者側にまわりたいと思った。

ツアー14名の年齢層が60代、70代、80代と高齢者はもちろん後期高齢者が半数以上のツアー参加者、2日目のランチ終了後、3階からエレベーターに乗り、1階に降りる際、沼津から参加の奥方がご主人に「あなた、早く、早く乗って、時間がないわよ」「ああー、もう出発時間なのか、ひとの話しなんにも聞いてないからなー!」エレベーターに乗っていた東京から参加のご主人が「ひとの話し聞いてないならいいが、俺なんか聞こえないよ!」しまいにはエレベーターが動かない。沼津の奥方が閉めるボタンだけ押し、行きさき階のボタンを押し忘れている。後期高齢者の実像をまのあたりにし、明日は我が身か。


2025年10月13日   小濱 綱之