トイレの水洗化が普及したことで蠅は減少したが、
蚊は昔とさほど変わらずにその存在感を発揮している。
こんな名文がある。
『ぼうふらが、人を刺すよな蚊になるまでは、泥水のみのみ浮き沈み』
ぼうふらも苦労を重ねないと蚊には至らない。
夕暮れから駅裏の居酒屋は盛況である。
現役時代に何度も辛酸を舐めたと思えるような酔客で賑わっている。
男が一丁前になって悠々と酒を呑めるようになるまでには、
数々の修羅場を潜り抜けなければならない。
人間もぼうふらもそれほど変わらないような気がする。
22/文月/2025 山田 雄正