近所に新しい蕎麦屋が開店した。
客は年配者が多い。
年を重ねると蕎麦が好物になる。
『蕎麦だけじゃちょっと足りない花曇り』
桜が咲き始めた。
三分咲き、五分咲き、満開にまるまではニュースになるが、
三分散り、五分散り、全部散ると人は見向きもしなくなる。
だが、人出が少なくなり葉桜になってから出掛けるのが隠居の流儀である。
行動は常に単独。
群れを好むのはイワシやメダカ。
内緒の遊びは昼下がり。
悔いや未練もあったが、春霞のようにぼやけて来た。
いずれにしろ蕎麦や鮨を腹いっぱい食べるのは野暮である。
何事も物足りないくらいで丁度いい。
24/弥生/2025 山田 雄正