2024/05/23

(NO.1610) え、これも思い出? 小濱綱之

先週、木・金・土に岩手県浄土ヶ浜と秋田県鹿角市湯瀬温泉へ妻とマイカーで旅した。

木曜日の朝、自宅から浄土ヶ浜の北50km太平洋に面した北山崎展望台へ国道でまっしぐら、途中、昼食をはさんで着いたのが、2時ごろ。展望台の駐車場にマイカーを止めたら、ちょうど盛岡の北日本観光の観光バスが到着。展望台へ歩いて行ったら、うしろから観光バスから降りたトラピックスの団体さんがぞろぞろあとからついて来た。あいにくの曇り空に霧が出て来たので、そうそうと展望台から切り上げ、駐車場に止まっている観光バスのドライバーに「つぎはどちらへ向かわれるんですか?」とたずねたら、「浄土ヶ浜へ」。私はおもわずラッキーと小躍りした。「すみません、私もこれから浄土ヶ浜へ行くんですが、どういったら一番近いんですか? 私のナビ更新してないので、道案内してくれなくて」「龍泉洞の標識に従って、無料の高速道路インターに乗り、宮古北インターで降りるといいよ」私は礼を言って、マイカーに乗り込みナビを見ていたら、バスのドライバーが親切に「おれのあとについて来て」「ありがとうございます。もし、信号などであとについていけなかったら、気にしないで行ってください」「信号なんかないから、大丈夫だよ」観光バスについて行ったら、浄土ヶ浜の遊覧船乗り場へ。我々も遊覧船に乗る予定だったので、渡りに船だったが、霧と雨に最悪の遊覧船だった。妻は「これも思い出だわ」とイヤミなのかホンネなのか。団体さんも同じ浄土ヶ浜パークホテルへ宿泊。

翌日は昨日とは別世界、青空に恵まれたが、遊覧船が欠航するほどの強風になった。10時ホテルをチェックアウト後、浄土ヶ浜を散歩していたら、小学低学年生が浄土ヶ浜の看板を背に写真撮影していた。先生が「ほら、つぎもたくさんおもしろいところへ行くんだから、早く整列して」とやさしい声で指示していたが、我々小学生のころは怒声とともに先生がひっぱたきに来た時代だったと思い出した。いまは時代とともに注意するにも気遣いが必要な時代、お叱りは両親におまかせなんでしょうか。

さて、一路、盛岡へ抜け鹿角市湯瀬温泉へ、チェックインまで時間があるので八幡平アスピーテラインを越えて湯瀬へ行くことにした。今シーズンは例年に比べ積雪が少ないが、それでもこの時期、雪の壁が見られるのではと期待したが、アスピーテラインは積雪ゼロに近かった。岩手県側から八幡平へ上って行くにつれ、風が強くなり突風と霧のなかを手に汗にぎりハンドル操作に集中した。対向車がまったくなく不安と恐怖を感じていたら、ようやく軽自動車とすれちがった。軽自動車を運転していたのは女性ドライバーでハンドルの上に身を乗り出し脇見もなしで運転に集中していた。ここでも妻は「これも思い出だわ」(こっちはそれどころではない悪条件での運転なのに思い出も思いやりもあったもんじゃない)。思い出に良いも悪いもあるはずだが、私はなぜか“良い思い出”しか受け付けたくない。

 

 

2024年5月22日    小濱 綱之