2024/03/25

(NO.1593) また明日なぁ    山田雄正

 

駅裏の居酒屋で夕暮れからご機嫌になっている隠居族だが、 

それでも店が混み合ってきたらサッと席を立って帰って行く。 

 

至福の一時を堪能したらそれで十分。

それが常連の呑ん兵衛の流儀でもある。 

 

「それじゃ、また明日なぁ」 

「おう、転ぶなよ、骨折するぞ」

「そっちもなぁ、気を付けろよ」

 

出世とは無縁だったが、

そんな言葉が野暮に思える桜開花の春の宵である。

 

 

 

25/弥生/2024        山田 雄正