2021/03/04

(NO.1256) アメリカ人もヒラタケを食べるって? 岡 希太郎

 

筆者は日本の年寄りにヒラタケを食べるように勧めています。ヒラタケにはビタミンB3のナイアシン(ニコチン酸)が入っているので、毎日コーヒーを飲んで、キノコ炒めをヒラタケで作れば、ナイアシンを摂れるのです。「そんな面倒なことをしなくても、ビタミン剤を飲めばいいよ」と思う人は、ドラッグストアに並んでいるビタミンB剤をご覧あれ!


ナイアシンが入っていると書いたビタミン剤を見つけたとしても、そのナイアシンはニコチン酸ではありません。ほんとうに嫌になってしまうほど、薬の名前はややこしいのです。 

 

毎日コーヒーを飲みながらコーヒーの新着論文を読んでいる筆者ですが、数日前に面白い論文に出会いました。米国のサプリメント会社が、アメリカ人の食事ガイドラインを管理している農務省に要望書を出したというのです。どんな要望書かといいますと、なんと「食事ガイドラインにヒラタケを加えてください」。理由を読んでみましたら、アメリカ人がヒラタケを食べるようになると、欠乏しがちなビタミンDとナイアシンの1日摂取量が20%ほど増えるというのです。 

 

この僅か20%という数字が何を意味しているかということは、栄養学に詳しい専門家には説明なしに納得されるでしょう。でも一般の人は「へ~ヒラタケってキノコなのお~」ぐらいの受け止め方しかできません。 

 

サプリメント大好きな米国のサプリメント会社が、サプリを売るのではなくて、ビタミンを含む食品に注目するのは何故でしょうか?アメリカにはナイアシン(ニコチン酸)のサプリメントが安く売られているのにです。 

 

そうです、遠回りな話ですが、食品とその栄養素の大切さを農務省に宣伝してもらって、全国民にナイアシンの知識を知ってもらって、それからサプリメントの売り上げ増を狙っているのです。米国のサプリメント会社、何ともしたたかな戦法です。

 

 

2021年3月3日  岡 希太郎