2021/02/16

(NO.1253) 【コロコロほろ酔い日記-11】 あれから半年・・・ 小山伸二

 

昨年の8月17日以来のご無沙汰でした。

 

ちょうど、あれから半年間。 

 

すこし旅に出かけていたもので、というのはもちろん嘘っぱちで、自宅のベッドのうえで、ぼんやり、ほろ酔いの日々を過ごしているうちに、いつのまにか、半年もこのコラムをさぼってしまった。


これは、コロナのせいではない。だれのせいでもない。 

 

でも、ぼくがダメだったのかというと、そういうわけでもなかった。 

 

この半年間、ぼくは、コーヒーを複数の「詩人」たちを道連れにして、語った本をなんとか完成させ、コロナ禍、なかなかリアルなイベントがやりづらい状況をぬうようにして、東京、大阪の町場の小さな本屋さんで出版記念イベントなども敢行した。 

 

そんななか、幸運に、本はある通信社の書評担当の目にとまり、全国の地方紙の読書欄で紹介された。そんなこともあって、独立系ひとり出版社の書誌梓、初の全国書店流通にものせることができた。 

 

そんな「リア充」の日々とも言えなくもなかった半年間だが、生来の移動好き、ノマド体質がすっかり封印され、なんともいえない、鬱々とした気分に繰り返し襲われつつも、それでも、まあ、きょうまで生きてきました。 

 

そんな半年間。 

 

世界は、まだまだ、落ち着かない。 

 

落ち着かないどころか、事態は、ちっとも好転していない。たいへんな、重たい空気が、もう「日常」となりつつある。 

 

そんななかで、自然災害は、まあ、容赦がない。 

 

なかなか、きつい、ニュースも、日本で、世界で、あいかわらず起きつづけている。

 

困ったもんだ。 

 

世界で起こっていることに、大半のことは、無知で、無関心でいられただけ、だったかもしれないと、がらにもなく、深刻ぶっても、仕方がない。 

 

それでも、と、きょうもベッドから起き上がって、苦い深煎りの珈琲を口に含んで。 

 

わくわくするような、本でも読もう。 

 

こんな時期に、オープンする、町の小さな本屋さんだってあるんだ。 

 

世界中の本屋が、本を通してつながっている、と書いたのは『本は読めないものだから心配するな』の管啓次郎だった。たしかに、「本」というリアルな物体が、物流によって配本された世界の棚は、まぼろしの共和国のようにゆるやかに、有機的に繋がっているのだと、思ったら、すこしだけからだが軽くなった。

 

東京にお住まいの方は、JR南武線の分倍河原駅前にできた本屋「マルジナリア書店」をのぞいてみよう。


西向きのおおきな窓ガラスの真正面に、富士山が、静かに佇んでいます。そのカウンターで、コーヒーも飲めますよ。

 

 

2021216日 小山伸二