2021/01/26

(NO.1248) 特殊詐欺! 小濱綱之

昨日夕方、コーヒーカップを片手にではなく、ワイングラスを片手に大相撲初場所千秋楽の大栄翔と隠岐の海の対戦をテレビ観戦、大栄翔関が勝利し初優勝に輝いた。 初場所の優勝は6年連続初優勝力士が続いている。 それほど初場所では優勝経験がある横綱ならびに大関などの休場または成績不振が続いているということでしょうか。 大相撲が終わりテレビを見る楽しみも薄れコロナ感染予防のためスティーホームしているのも気分が滅入る思いです。 

  

さて、近頃、コロナワクチン接種や持続化給付金などに伴う詐欺事件が多発していると聞いているが、オレオレ詐欺から始まり秋田県でも特殊詐欺の被害が頻発し、毎年6000万~8000万円の被害額に上っている。 

先日、地方新聞に「特殊詐欺1億円被害事件」の記事が掲載された。被害者は70代女性一人暮らし、40代の長女は遠方で生活しており母の不審な振り込みなどには気づかなかった。被害者は2016年に霊感商法とは知らず7000円の健康ブレスレットを購入したが、数ヵ月後、霊感商法の詐欺師から購入したブレスレットには悪霊が乗り移っており悪霊を祓う必要があると言葉巧みに560万円をだまし取られた。女性は思い出したくもない560万円を忘れかけていた2年後の2018年12月、実在する一流企業名をかたり「霊感商法の被害者名簿にあなたの名前があった。救済金を支払う手続きとして、仮想通貨の購入を申し込んでほしい」と電話があり、一流企業をかたった詐欺師らは会社の部下も霊感商法にだまされ、被害額を返還すべく我が社が窓口となり折衝しているので名義だけ貸してほしいと女性を説得した。

数週間後、詐欺師らから「仮想通貨の購入を巡るトラブルに巻き込まれた」との作り話に女性がだまされ、一時立替え金の名目で3000万円を支払った。

詐欺師らはその後も数ヵ月にわたり女性と連絡を取り続け2019年6月、女性にとって思いも寄らない電話がきた。金融庁の職員を名乗る男からだった「女性の仮想通貨購入は不正な名義貸しに当たり、3000万円の振り込みは不正な送金なので、女性を罪に問うため裁判を起こす。7月17日には家宅捜索も行う」と威圧的に言われ、驚いた女性はこれまでやりとりを続けてきたナカジマらの企業に電話したら、応対したのは女性に対し高圧的なタカハシだった。タカハシはここで以前とは態度を一変させ「私が全権を委任されましたので、きちんと対応いたします。これまで失礼な態度を取って申し訳ありませんでした」会社から女性をしっかり守るよう指示を受けたというのだ。女性が苦手意識を抱いていたタカハシは急に親しみやすい人物に変わった。そして、タカハシは女性に提案した「裁判になれば財産を差し押さえられてしまいますよ。でも全財産を金の延べ棒に換えて貸金庫に保管しておけば、差し押さえを免れることができます」女性は脅し文句と助け舟に翻弄されたが、とにかく財産を守ってトラブルを乗り切りたい、その一心だった。投資信託や保険を解約し全財産9200万円を現金化した。手元には生活費10万円ほどを残し、タカハシから指示を受けた東京の地金商大手に購入を申し込んだ。送金手続きは自宅近くにある金融機関の支店窓口で行った。この金融機関の幹部は地方新聞の取材に「特殊詐欺被害を防ぐ確認は窓口で徹底し、少しでも不審な点があれば手続きを止めている」と説明したが、女性はこの時、窓口の担当者から「金の延べ棒を買うんですか、すごいですねえ」という程度の声掛けしかされなかったと記憶している。注文した金塊は7月10日に自宅に届き、翌11日、女性は指定された大仙市内の公園に車で向かい、トランクには金塊の入った段ボールを積んでいた。そして公園で待っていたツジと名乗る男と落ち合い、段ボールを手渡した。帰宅後、タカハシは電話で「金塊は確かに受け取りました。金庫に預けましたから、もう心配いりませんよ」と言った。女性は安堵した。

家宅捜索が来るはずの17日を迎えた。タカハシに指示されていた通り、これまでの振り込み明細や金塊の購入明細など、後々の捜査で証拠となりそうなものは全て処分していた。女性は茶や菓子を用意して金融庁の職員を待ち受けたが、職員が来ることはなかった。タカハシに問い合せようといつもの番号に電話したが、つながらない。霊感商法の被害に気付いた時とまるで同じ状況だった。女性は全財産1億2千万円余りをだまし取られたことを悟った。

事件の後、女性は秋田を離れ長女の家の近くに転居した。

「だまされた方が悪いのか、だまされ損で終わるのか」女性は今も行き場のない思いを抱えている。そんな女性に長女は「お金がなくなっても、命まで取られなくてよかったよ。母さん、生きているだけよかったよ」と励ましたという。癒えぬ苦しみの中、この言葉が辛うじて女性の救いとなっている。

 

私はこの記事を読み終わり、もし女性と会う機会があるとしたら、どのような言葉をかけるのか思いつかない。

 

今年はコロナ感染により、特に詐欺被害が多発すると予想されているので、他人事ではなく私自身も十二分に注意するよう心掛けます。(詐欺に合うほどの財産はないが)

 

2021年1月25日      小濱 綱之