2020/06/30

(NO.1220) とにかく予約  デコッパチ

近くにあるゴルフ練習場(60メートルぐらいの距離しかない箱庭みたいなところだが、比較的手頃な料金なのです)が、とりあえず営業を始めた。ふらりと行ってみたら、完全予約制である。もう、ふらふらと、思い立った時にいけないのである。

例えば、10:30、12:00、13:30、15:00と、枠が決まっており、その時刻から、皆が一斉に打ち始めるのだ。1時間10分ほど。さらに、来場は、5、10分くらい前に来てくださいな、と言われる。30分くらい前に行くとびっくりされるのである。

帰るときも、これまでは、受付付近のロビー的な空間で雑誌を読んだり、備え付けの本を読んだり、テレビをみる、といった、昔ながらの雰囲気を持つ練習場だったが、そそくさと帰ることを強制?される雰囲気に変わってしまった。当面は、映画館も含めて、何もかも、予約至上主義になるのかしら。一方、近所に日本一?料金が高いと言われる練習場もある。再開後は行ってないが、ホームページなどを見る限り、特に予約制ではない模様である。300打席くらいあるから、予約制にすると、収拾がつかなくなるからでしょうか。

しかしながら、他の国に住んだことがないからよくわからないが、政府のお達し、世間の暗黙知、暗黙の了解、コンセンサス、につくづく従順な国民性ではないかと、しみじみ思う。今回の感染率、死亡率が海外と比べて低い理由に、ファクターXとして、未知の要因を挙げる方もいらっしゃる(対策効果、衛生意識、文化の違い、遺伝的要因、過去の感染)。

某新聞は、1946年に出版された著作「菊と刀」を一例としてあげる。戦時中に、日本人の行動パターンを報告書としてまとめた、ルース・ベネディクト氏が書いたものだ。太平洋戦争の終戦1年ほど前に、あらゆる政策を描いていた米政府から、不可解なる日本人の思考パターンをまとめるように言われた著者が作ったものである。この報告書がなかったら、国力はいまの半分以下だった可能性も想像できるかもしれない。

第1章の出だしは、なかなかびっくりする。アメリカが全面的な戦争において、これまで戦った敵の中で日本人ほど不可解な国民はない、見越しておかねばならない行動と思考の習慣がこれほど著しく異なっていた例(ためし)はない、などといった出だしである。

また、「人目を気にして行動する一方で、おそるべき良心の持ち主である」、「従順な国民であるが、上からの統制に素直に応じない」、などといった内容の専門家の意見も、本の冒頭で引用している(まあ、そうかもね)。とにかく、海外の文化人類学者からは矛盾してみえるようである。ここ1年くらい、この本を、とばしとばし読んでいるが(すみません、読むのが遅いんです)、的を得ていると感ずるところも少なくない。米国は罪の文化、日本は恥の文化、というイメージだけではくくれない部分についても言及しているのではないかと思う。個人的には、「恥の文化」が、ファクターXの一部を説明できようが、そう単純なものでもないと思う。

しかし、いろいろなものが再起動してくれてよかった。映画館も再開してくたし、小規模映画館も手探りながら始まってくれた。

よく通っていたカフェは引っ越してしまったけど、チェーン店のカフェが再開した。こちらはさすがに予約制ではないが、間隔を開けるように、

座れない席にテープが貼られるなど、少しばかり、ものものしいものになっている。なんだか、警察ドラマで、犯罪後の現場検証のための刑事さんを待っているような、テープの色である。しかし、同じ系列のお店でちがう駅のところは、特にテープは貼られていない。そちらの方が、ものものしくなくていいと思います。

 

2020年6月29日 デコッパチ