2020/05/29

(NO.1216) 2020 いまのところ  デコッパチ

世の中は、少しづつ動き始めたものの、映画館などは、現時点では、再開後を模索している段階のようである。

 

こうしたなか、米国某新聞大手の電子版の映画欄をみると、かなり元気である。批評家を2人抱えており、その語り口は活発である。筆圧は強く、思ったことを忌憚なくビシバシ書いている。映画業界のひとびとも、日頃から気にしているのではないだろうか。最近では、仏カンヌ映画祭がキャンセルされたことについて、その影響がいかに大きいかを、お二人は深く嘆いている。

 

また、過去70年以上のカンヌ映画祭で、パルムドール賞を獲得した作品群のなかで、彼らが、愛する8作品、愛さない3作品、を挙げている。

 

まず、ふたりの批評家がブラボー!と評する作品は、以下の通り。

 

無防備都市(1946年、ロベルト・ロッシーニ監督)、 第三の男(1949年、キャロル・リード監督)、 甘い生活(1960年、フェデリコ・フェリーニ監督)、 山猫(1963年、ルキノ・ビスコンティ監督)、 シェルブールの雨傘(1964年、ジャック・ドゥミ監督)、 カンバセーション(1974年、フランシス・フォード・コッポラ監督)、 ある子供(2005年、ジャン・ピエール、リュック・ダルデンヌ監督)、 万引き家族(2018年、是枝監督)

 

知らない映画もあったり、あらすじも知らない作品もある。黒澤明氏、森田芳光氏、スピルバーグ氏などの作品は残念ながら入らなかった(これを書きながら、森田監督、スピルバーグ監督は、そもそもパルムドールを獲っていないのではないかと、はたと気づく)。また、1980年代、90年代の作品がきれいに素通りされている。一方、コッポラ監督の70年代の作品が入っていることにはやや救われた思いがする。日本からは、是枝監督の「万引き家族」が入っていた。カンヌは、おもわぬ秀作と突然出会えるところが長所だという。

 

一方、「おきらい」な作品3つが、ワイルド・アット・ハート(1990年、デビッド・リンチ監督)、バートン・フィンク(1991年、ジョエル&イーサン コーエン監督)、アデル、ブルーは熱い色(2013年、アブデラティフ・ケシシュ監督)、だそうである。

 

1990年代は相当嫌われているようだ。ただ、この三人の監督のうち、二人に対してはかなりの好意を持っているようで、「どうしてこんなひどいの作っちゃったの」という、愛情の裏返しと言えるかもしれない。

 

二人の批評家は、もちろん今年2020年の、「今のところのベストフィルム」数本を上げている。

 

Beanpole(終戦直後のレニングラードを舞台とした女性看護婦のドラマ映画)、The Half of It(「面白いのはこれから」。米国の田舎町における高校生三人のせつないやりとり)、Bacurau(ブラジル映画。「七人の侍」と「ホステル」を足したような作品だそうです)、The Traitor(マフィア映画)、Sorry We Missed You(「家族を想うとき」。「わたしは、ダニエル・ブレイク」のケン・ローチ監督作品)、Beyond the Visible:Hilma af Klint(スウェーデンの女性画家ヒルマ・アフ・クリントを描いたドキュメンタリー映画)、 The Invisible Man(「透明人間」)、などである。

 

いくつかは日本でも、すでに動画などで観れるもようだが、まだ邦題も決まっていないものもある。

 

インターネット版の記事からは、それぞれの予告編動画にすぐに飛べる。めまいのするような作品、控えめにみても心臓に決して良いとはいえない作品もあった。芸術性が高いけど日本での上映は難しそうものも。カオスの突き抜け方に唖然とするしかない映画もある。 お二人の著名批評家が、過去も現在も、もはや米国作品にあまりこだわっていないことがわかった。映画の世界はけっこう元気な様子である。

 

2020年5月28日 デコッパチ