2020/03/30

(NO.1209) 1917、2020  デコッパチ

12ヶ月ほど前。マスクがなくなる。数軒も薬屋さんをまわったが、けんもほろろである。しかし、店員さんの心労も相当大きそうだ。そして、現在。もう、最近は、何事にもあまり期待しないようにしている。ここは、崩壊前のソビエト連邦なのだろうか。一部であるが、必要なモノがない。蒸発してしまったのだ。その後、マスクは、意外にも、多少は手に入ったが、それらは家族に取られてしまう。お代官さま、それだけはご勘弁ください。こうなったら、洗うしかない。または、自分でマスクを作るまでである。布を買って、ハサミで切ってみよう。まぁしょうがない。

ちなみに、ウィルスが近い将来に鎮静化したあとの世界の常態は、米中冷戦の深化、大きな政府、財政赤字増、cash is kingESG重視の反動、統制、政府による監視強化、政府による企業への介入、などが予想されている。まぁいいか。 

とりあえずは、ティッシュを買えて喜び、お米を食べ、涙するわたしがいる。 

 ところで、それだけはご勘弁を、が、きかないのが、上司の命令だったり、戦争における上官の命令である。

 映画、1917。原題は1917である。題名や、無駄のない主題、予告編の雰囲気から、「しっかりした映画」オーラが輝いていた。海外で評価が徐々に高まり、国内における上映が急に決まり、上映直前ごろに、「1917 命をかけた伝令」という邦題が急遽あらわれる。やがて、日本での上映日程も決まった。映画業界の意思決定の流れ、タイミングがすごくよくわかった。結構、海外での表彰をみながらなのですね。

 最近のラインアップ作品で、いちばんみるべき映画ではないかと感じ、映画館まで足を運んだ。後悔はありません。サム・メンデス監督、ありがとうございます。しかし、第一次大戦における自国の兵士の行動を、ストレートに映画にし、今の世でも、世界に堂々と公開でき、脚本や映像の質が、他国でも共感、評価してもらえるということが、なんとなくうらやましい。日本が戦争に絡んだ映画といえば、ラストエンペラー、戦場のクリスマス、などであるが、今でも複雑な塊りが体のなかに残される。

 映画1917は、全編ワンカット撮影である。第一次大戦のフランスの西部戦線で、昼寝をしていた若いイギリス兵が上官に起こされる。司令部に来なさいと突然いわれる。相方は、君が選びなさいと言われ、隣にいた兵士を起こす。起こされた兵士のほうが、経験豊富のようだ。

 命令は、伝令である。約10キロ離れた部隊に、攻撃中止を伝えよという。ドイツ軍の撤退は罠なのであることを、なるべく早く伝えよと言われる。電線は切られ、伝令のほかに、連絡方法がまったくないのだという。やれやれである。うーん、1917年。人にメッセージを伝えることは、インターネットが発達した今日でも簡単ではない。命がけでたどり着けたとしても、門番に跳ね返されるかもしれないし、伝えられても司令官本人や、その取り巻きが頑なかもしれない。

 命令を受けたあと、二人は塹壕を歩いて、最前線の先端まで歩いていく。まるで、観ている方のこちら側もいっしょに歩いているみたいだ。司令部を出て、塹壕を最端部に向けて歩くにつれ、まわりの兵士達には、重傷者の者が目立ってくるし、眼差しも、崩壊寸前度合いがましてくる。そして、塹壕の最終地点に着く。梯子をのぼり、鉄条網にからまれた、塹壕外の世界に出て行かなくてはならない。このシーンがかなり緊張します。塹壕の外側へ。

 

2020327日 デコッパチ