2019/11/29

(NO.1192) よいでねー!  小濱綱之

ローマ法王が来日、核廃絶を訴え地球平和を唱える言動は重みと説得力があり、狡猾で打算的な権力者にとっては目の上のタンコブのような存在ではないでしょうか。

天皇陛下とローマ法王の会談をニュースで拝見したが、思いが一緒のおふたりの和やかな表情がとても印象的だった。

さて、私は退院後、早三週間過ぎたが左膝がなかなか思いどおりに動いてくれない。

週二回城東スポーツ整形クリニック(一階診察室、二階リハビリテーションセンター、三階入院病室、四階手術室他)へ通いリハビリに励んでいるが、目に見える効果がなかなか見受けられない。“よいでねー!”(容易ではない、大変だ)と連呼したい気分だ。

入院中は三階の入院病室休憩所の自動販売機のコーヒーを毎朝いただき、通院でも毎回ではないが時間があると三階へ上がりコーヒーを飲み入院中のころを思い出したりする。

先日、リハビリセンターのトレーナーに「小濱さん焦らず、無理せず、膝に必要以上に負担を掛けず、いまやるべきことをやり、気を長く持ち、時がくるのを待ちましょう!」と慰められたが・・・。

昨日はリハビリセンターで入院中に一緒だった両膝手術のおばさん(70代)に会い、膝の調子について尋ねてたら「足が上がらない、ツッパッて歩けない、イラつく」など、まったく私と同じ悩みを持っていたので、私は安堵とこれからのリハビリになぜか分からないが期待が持てた。

私の担当トレーナーは「小濱さんのような片足手術の方はビッコタンと歩き方が不格好ですが、両足手術の方はビッコタンがなく見た目きれいに歩くんですよ」(このトレーナーは何を言ってんだろうと思ったが)「そうかも知れないけど両方はキツイよね!」と私は片足だけでも“よいでね”のに両足などとんでもない。

そうこうしていたら、やはり入院中に知り合った左肩腱板断裂で手術した60代男性(3年前は右肩腱板断裂をやっており、もう肩なし)がリハビリセンターに入ってきて、近くにいたトレーナーが「皆さんおそろいで、同窓会ですね!」と笑顔でとおり過ぎて行こうとしたが、我々は「笑いごとじゃないよ。“よいでねんだー!”」と悲痛で不自由な身体を訴えたら「僕も皆さんのお力になれるようできる限りご協力しますので、がんばってくださいね!」と殊勝な言葉で励まされた。

入院中、いろんな患者と接する機会があった。

例えば、歳の頃30代後半に見えた警察署の武術指導員(当時はまだ武術指導員とは知らなかった)はちょうどラグビーワールドカップの最中で体形がラグビー選手のようだったので「失礼ですけど、ラグビーやられてるんですか?」と尋ねたら「いいえ、柔道です」「あっ、それじゃ警察関係ですか?」「はい、そうです」私の妻の親族で30代の警察官がおり「それでは○○というものが警察官でいるんですが、ご存知ないですよね」「ええ、沢山おりますので、すみません知りませんが、私のことは知ってると思います」会話はそこで途切れた。

彼は左脚の弁慶の泣きどころにボルトが入っており、その真下が化膿し何度か入退院を繰り返し完治は難しいような説明だった。

私が入院中に退院したが、おそらく数年後再度入院するのだろうと推測した。

後日、洗面所で会った若い学生風の男性に「学生さん?、スポーツで怪我したの?」と尋ねたら「いいえ、警察官です。武術で怪我しました」「あっ、それならこの前までここにいた△△さん知ってる?」「はい、本署の武術指導員です」と聞き、彼が警察官のあいだでは有名なわけが分かった。

いずれにしろ、私を含め入院患者はもちろん、通院患者も“よいでねー!”

 

2019年11月27日      小濱 綱之