2019/05/01

(NO.1158) コーヒーオイルは危ないかも  岡 希太郎

コーヒー豆を絞って蒸留して作るコーヒーエッセンシャルオイルが、そろそろ日本にも上陸する気配がする。植物オイルの市場に割り込んでくること確実だという意見は、コーヒー豆の貿易量が石油に次ぐという事実に基づいている。

コーヒー豆は東南アジアの油椰子の実より高額だから割に合わないとの意見は通用しそうにない。何故かといえばコーヒーオイルの製造はコーヒー飲料として抽出した豆の残り滓で十分だからである。

エスプレッソだろうとドリップ式だろうと、コーヒーオイルの90%以上は滓の中に残っている。ネスレだってスタバだって、お金をかけて処理しているのが現実だから、オイルに使い道が開ければ願ってもないありがたやなのである。

現在ネットに流れている情報は化粧品目的の商品だが、注意書きに「飲むな」とか「アレルギーに注意」とか書いてある。でも本当に危ない副作用のことは書いてない。もし間違って食品会社がパームオイルの代替として使い始めたら、恐ろしいことになる。BBCはそんなこと何も言わずに「コーヒーオイルは素晴らしい」と放送したそうだ。

前世紀末のフィンランドの煮出しコーヒーは、多少のオイルが混ざる特徴があって、これを飲むとあっという間に高コレステロール血症になることが解っている。そこでコーヒー会社は煮出しに代えてドリップ式で飲むことを市場に宣伝したのである。その結果、フィンランドの疫学研究のデータが他国並に「生活習慣病を予防する」となったのである。

この情報は発表後既に30年近くが経過したから、そろそろ情報の墓場に埋もれ始める頃合いだ。始まったばかりの令和の時代に、「コーヒーオイルで健康障害が多発」なんてことにならないように、「コーヒーオイルは毒だ」と言い触らそうと思う。

とは言っても「毒と薬は使いよう」だから、暫くは専門家の意見に従った方がよい。英文のネット記事には、「子供と妊婦は医者に相談してから使いなさい」と、薬みたいなことが書いてあるが、そんな申訳のようなやり方では、オールトランス油の二の舞になりますよ。

 

令和元年五月一日  岡 希太郎