5日目の朝、天井が高く広々としたブッフェレストランでの朝食、ステージではハーブ演奏者が爽やかなメロディーを奏でて我々をおもてなししていた。
サンクトペテルブルグのホテルにもあったが、このホテルでもニシンのマリネが目につき私は気に入りロシアに来て毎朝食べている。
少し塩っぱいがパンや野菜と一緒に食べると大変美味しく感じ、またビール・日本酒などのお供にピッタリだと思い自分用にスーパーで瓶詰め1瓶を購入した。
さて、今日はクレムリンの武器庫とダイヤモンド庫を鑑賞、武器庫にはいろんな宝物がありロシアの財物の豊富さに驚かされたが、入場検査が厳しいダイヤモンド庫は30坪ほどのスペースで暗い室内をロの字型に出口専用へ向かう。
ガラスケースに次から次へと置かれたダイヤモンド、ゴルフボール大のダイヤモンドは輝ける物体が何かを訴えかけて来るような錯覚に陥り、思わず頭を振り我に返る動作を無意識にしていた。
また、室内でもセキュリティーが厳しく黒服スーツのガードマンが数人いてガラスケースから50~60cm離れているところにこれ以上近づかないよう高さ1mぐらいの位置に手摺りがあり、私は近くで見るためその手摺りに肘をつきガラスケースに顔を近づけたら黒服スーツマンがすぐ私のそばに来て「だめだ。手摺りに触るな!」ときつい顔でたしなめられた。
武器庫といいダイヤモンド庫といいロシアの財産には驚くばかりだった。
ダイヤモンド庫をあとにし、我々ツアー参加者のひとりが「いやー、あれだけの財宝が日本にもあったら日本の借金1千兆円なんか子孫に残さず返せるのにねー」と現実に引き戻された。
昼食は名物“キエフ風カツレツ”をメインとするモスクワ中心街のレストランで食べ、デザートの際、添乗員が「皆さん実は今日お誕生日の方がいらっしゃいます」と聞いたとたん、旅行中自分の誕生日を忘れていた私は思わずハッとしたら、レストランの従業員が「ハッピーバースデー、ツーユー、ハッピーバースデー、ツーユー、ハッピーバースデー、デァー、ツナユキ、ハッピーバースデー、ツーユー」とロウソクが立っているケーキを私の目の前に差し出した。
レストランに食事に来た他のお客さんも私の誕生日を祝福してくれ大変ハッピーな気分になった。
こんなに大勢の方に祝っていただくのは初めての経験なので冥途の土産になったような気がします。
昼食後、地下鉄に乗り3ヵ所の駅に降りホームにある壁画などを鑑賞、以前知人がロシア旅行した際「地下鉄駅の壁画を見れなかったのよ」と残念がっていたので今回のツアーでは地下鉄観光が含まれているツアーを選んだ。
各駅が地面より深い位置にありホームが広く核シェルターになっているところが日本の地下鉄との違いだろうか。
夕食は宿泊ホテル近くのレストランへ、ホテルからバスで5~6分のところにあり、行く途中、昔のソ連国家保安委員会KGB(今のロシア連邦保安庁FSB)ビルの前を通り、現地ガイドに旧KGBビルであることを紹介され私はそのビルを眺めながら“いろんなキナ臭いドラマが数えきれないほどあったんだろうなー”とビルを眺めていて精神的に落ち込みそうになった。
夕食は魚料理、今回のテーブルは親子3組(母と娘が2組、父と娘が1組)と同席になり、いろいろ話していたら、今回3組とも娘さんが親の旅費を払い招待したようだった。
私と家内は旅費を娘さんが全て負担したことについてとても感心した。
いつまで経っても親離れせず親のすねをかじっている子供が多いなか、リッパな行いだと褒めまくってやった。
母娘2組の娘さんは20代後半に見え、私の家内が「まだ学生さんかと思いましたよ」と言ったら「うわー、嬉しい、学生に見られたの初めです。帰ったら友達に話してやろう!」と母が九州の博多に住み本人は東京に住んでいるという娘さんが大いにはしゃいでいたのが印象的だった。
また、父(60代)が四国の高松に住み本人は東京に住んでいる娘さん(30代半ば)は顔が全く似てなく、似ても似つかぬ親子とはこの親子を言うんだろうと思えるくらい似ていなかった。
娘さんは雰囲気が女優ミムラに似ており、気さくで美人で魅力的な女性なのになぜ独身なのか不思議だった。
2017年4月20日 小濱 綱之