2010/09/17

グァテマラ農園視察ツアー その⑭

農園から少し下ったベネフィシオに移動。このベネフィシオのある場所こそ,その昔実在した農園名の由来の町、パンピンチンがあった場所だそうです。ドライパティオは100スクウェアーとそれ程大きくありませんが現在色々と手を加えている所です。例えばドライ・パティオの真中にあるコルテオ(ドライ・パティオにウェット・パーチメントを流す水路)は現在取り壊し中。何でもベネフィシオを造る際、色々な人に話を聞いて「コルテオは真中に造らなきゃ」と言われ真中に造ったものの、この程度のドライ・パティオなら真中でなくても良いんじゃないか、逆に日当たりの悪い土手際に造ったほうが日当たりの良い場所が増えて良いのでは、と言う事で現在土手側に建造中。また今後ドライ・パティオ拡大する予定なのですが、3ヶ月前の噴火の処理が済んでいないとの事。まだアチコチに火山灰(石?)が積もったままです。農園も被害が大きかったけどベネフィシオも大変だったんですな。

今は精製の時期ではない為、パルパーやモーター等の機械は外して別の場所に保管しています。なぜ外すのかと言う問いに「今の時期はベネフィシオにあまり来ないから、その間に盗まれる」との事。精製は地下300メートルから汲み上げた地下水を使い、パルピング後16時間発酵槽でねかせ、その後サンドライで5日間。含水量が11~12%になるまで乾燥させます。最終脱穀はここもグァテマラ・シティの業者に頼んでいるそうです。ポール曰く、通常収穫してから精製、乾燥、脱穀、寝かせ、出荷まで約2ヶ月掛かるが、これを寝かせの時間を長くし、トータルで6ヶ月かけて出荷する方が味が良いそうです。点数も2ヶ月の時は83点だったのに対し、6ヶ月は85点に上がったそうです。またポールからの質問で「フルウォッシュとパルプド・ナチュラルは味がどう違う?」と聞かれ「フルウォッシュはクリーンで、クリアーだけど、パルプド・ナチュラルはヌメリが残った状態で乾燥させている分、甘みが増し、フルーティー」と答えるとそうか、そうかとうなずいていました。もしかすると近い将来パルプド・ナチュラルが作られるかもしれません。それはそれで楽しみです。

ポールの品質に対する究極のコダワリは自分で真空パックの機械を作ってしまった事。グァテマラ・シティにあるので見ることは出来ませんでしたが、1年かかったそうです。現在はアメリカ向けに1箱10㎏パック2個入りで出荷しているそうです。この方がコンテナへの積み込みも楽でキレイに納まるので効率が良いそうです。しかし自分で機械を作ってしまとは…。ゴンザロも目が点でした。

ベネフィシオをあとにしポールのご自宅へ表敬訪問。そこには現在のアマティトラン湖の現状がありありと…。少々沖合いに頭を出しているフェンスまでがポールの自宅のは敷地だそうです。今の時点で降雨量が昨年1年間の倍、しかもまだ雨季は終わっていないとなると、そのうち母屋まで浸水してしまうのではないでしょうか。自宅には自作のベリーボーラー・トラップが一杯。農園に掛かっていた物と少々違います。何が違うかと言うと農園の物はペットボトルの横がガバッと開いていますが、ここにあるのは穴がポツポツ開いているだけです。これは中に入れる薬(アルコール系)が蒸発しにくくする為だそうです。しかしまぁ、やる事が細かい。ポールの研究熱心さに頭が下がります。コーヒーを頂きながら色々ためになる話を聞き、非常に満足な気分でポール宅を後にしました。因みに頂いたコーヒーは精製、乾燥後すぐに真空パック詰めした2008/2009年クロップのピーベリーでした。1年遅れ物ですがこれが非常に美味しかった。来年はポールの所のピーベリーも十分入れる価値ありです。

奥さんのダニエルは実はフランス人。しかも清泉インターナショナルスクール出身です。お父さんがミシュランにお勤めで、日本駐在されていいる間に通っていたそうです。しかも9年間も。今は日本語忘れたと言っていましたが、絶対喋れます。弟さんは音楽プロデューサーでLAで日米の橋渡しをしているそうです。フランスのお嬢様がなぜ、グァテマラの片田舎に…。次回会った時に聞いてみます。家が水没していなければですが。