コルブラン・ファミリーは東部山岳州で初めてのコーヒー生産者。現在は二代目二コルと三代目クリスが農園運営を担っている。
1960年、ベン・コルブランがタローという原住民から土地を購入して、バロイダ農園を始めた。1965年、オーストラリア委任統治領パプアニューギニア自治政府が初期移住者に対して、コーヒー栽培の奨励政策を打ち出したため、ベンはコーヒー栽培を始め、東部山岳州で初めてのコーヒー生産者となった。1975年、パプアニューギニアが独立してからも、50年以上にわたってコーヒー栽培を続け、現在は息子の二コルと孫のクリスが農園運営を行っている。
私がコーヒー業界に足を踏み入れる前の1992年、木材の買付で初めてパプアニューギニアに行った時は、ブーゲンビル島の分離・独立をめぐって内戦が勃発した年だった。1997年には時の政府転覆を狙った軍事クーデターが起こり、全国で戒厳令が発令された。まさにちょうどその日にパプア入りし、何も知らずに町をうろついていた。もう少し遅い時間だったら、暴動に巻き込まれていたかもしれない。CNNで放送されていた暴動が目と鼻の先で起こっていた。小さな強盗は日常茶飯事で、同業他社の駐在員たちは何人も襲われていたものだ。私は運よく痛い目には合っていない。マラリアに罹ったこと、犬に噛まれたことぐらいだろう。仕事の合間にゴルフやスキューバダイビングをやったり、産地への出張はヘリコプターで行ったり、今となってはいい思い出となっている。
[概要] パプアニューギニア、正式名称はパプアニューギニア独立国という。オーストラリアの北に位置し、ニューギニア島東半分とニューブリテン島 やブーゲンビル島などを含む島で構成された国である。ニューギニア島西半分はインドネシア領イリアンジャヤになる。1500年代にポルトガル人が来航して いるにもかかわらず、コーヒーが伝わったのは1890年代と以外に遅い。商業ベースで栽培されるようになったのは1926~27年ごろとなる。ニューギニ ア島南東部でジャマイカのブルーマウンテン(ティピカ)が広く栽培されるようになった。1950年にはタンザニアのアルーシャ(ブルボン)が、1960年 代にムンドノーボとカツーラが持らされた。コーヒー生産量は世界全体の1%。ウェスタンハイランド州、イースタンハイランド州などの中央高地で栽培され、 独特の香味を持つ上質なコーヒーである。コーヒーはパームオイルに次ぐ、第二の輸出農作物であり、250万人がコーヒー産業に関わっている。2014年か らは世界最大規模の設備を誇る液化天然ガス(LNG)の生産が始まり、その50%が日本向けに供給される予定である。他国にはない独特なシステムがこの国 に存在する。それを「ワントク・システム」という。パプアニューギニアの人々の間に「ワントク」と呼ばれる仲間意識がある。「ワントク(Wantok)」 は、「ワントーク(One talk)」(同じ言葉)を意味する。「同じ家族」、「同じ部族」という意味でもあり、優先的に助けたり協力したりする慣習がある。
[地勢・気候]国土は日本の1.25倍で人口は700万人弱。高温多雨の熱帯性気候。第二次大戦時、日本軍にとって激戦地となったパプアニューギニア。山奥に入ると現在でも戦闘機や戦車の残骸が当時のまま残っている。
[生産状況]栽 培面積87,000ヘクタールあり、その大部分は高地で暮らす自給農業の零細農家によるものである。生産者は3つのカテゴリーに分けられる。年間 700~1000キロの収穫量しかない5ヘクタール未満の零細農家(スモールホルダー)72%、5~50ヘクタールの中規模農園(ブロックホル ダー)4%、平均300ヘクタールの農園を所有し精製設備を完備している大農園(プランテーション)24%。生産量のほぼ全量が輸出され、95%がウォッシュドアラビカで、5%がウォッシュドロブスタである。ロブスタは国内消費に回されている。
[主要生産地]北西部のハイランド地区85%以上、シンブ州6%、エンガ州2%、東セピック州1%が主な生産地である。
[栽培品種]ティピカ、ブルボン、アルーシャ、ムンドノーボ、カツーラ
[品質・格付]グレードはAA、A、AB、B、C、PB、X、E、PSC、Y1、Y2、Tがあるが、スペシャルティーコーヒーとしてはAAとPBが人気である。
[流通]主な輸出先はヨーロッパ40%、アメリカ20%、オーストラリア15%、日本10%、その他15%である。
品名 | バロイダ ナチュラル |
生産国 | パプアニューギニア |
地域 | 東部山岳州カイナントゥ |
生産者 | コルブラン・ファミリー |
クロップ | 2019/2020 |
規格 | AX |
欠点規格 | 8/300g |
スクリーン | スクリーン16アップ |
木の品種 | アルーシャ、ブルボン、ティピカ、ムンドノーボ |
その他 | 標高1700メートル |
精製方法 | ナチュラル |
開花時期 | 2019年8月-9月 |
収穫時期 | 2020年4月ー9月 |
船積時期 | 2020年11月 |
保管方法 | 定温倉庫 |
ロットナンバー | 166/34/M05 |