2018/09/30

(NO.1125) さよなら夏の日  Decopachi

さよなら夏の日

 

 

『おてんとさまの車の輪(わ)、

黄金(きん)のきれいな車の輪。

青い空をゆくときは、

黄金(きん)のひびきをたてました。

 

白い雲をゆくときに、

見たは小さな黒い星。

天でも地でも誰知らぬ、

黒い星を轢くまいと、

急に曲った車の輪。

 

おてんとさまはほり出され、

真赤になってお腹立ち、

黄金(きん)のきれいな車の輪、

はるか下界へすてられた、

むかし、むかしにすてられた。

 

いまも、黄金(こがね)の車の輪、

お日を慕(しと)うてまわります。

 

(金子みすゞ「向日葵」より)』

 

 

この夏は、世間的にも、個人的にも、いろいろなことがありましたが、それぞれ、酷暑が遠からず影響していたに違いない。

 

個人的には、まずは、自転車で大きく転んだ・・・夏の暑い日、出先からの帰り。家に着く直前。車道から歩道に、斜めに入ったら、角度が浅く、斜めに横転した。体は前に放り出され、手から地面を受け止めて、肩で受け身をとったようだが、気がついたら、手のひらや、肘はやや血だらけとなる。折れてはいないけど、一カ月ほど、消毒、パッド当て、網包帯作業、また消毒などといった作業が延々と続いた。

 

教訓は・・・自転車に乗るときは手袋、ヘルメットを。保険にも入るべきか。そもそも、そろそろ自転車はもうやめるべきかもしれない。傷口を気にしないでお風呂に入れることが、いかにありがたいかが身に沁みました。

 

アイスちんすこう事件・・・あまりに暑いとき、冷凍庫をあけたら、明治ラクトアイス・沖縄限定ちんすこうアイスが入っていた。思わずナイフで切り、少しいただく。これぐらいならばゆるされよう。しかしながら、次の日もいただいてしまった。どうにも止まりません。家族が気づき、逆鱗に触れる。家族曰く、沖縄展で買ったとのこと。買い戻そうとしたが、もちろん、アマゾンや、近くの巨大スーパーにはない。食べ物の恨みは怖い。源氏物語のように呪われないように、レプリカをつくることにした。

 

まずはアマゾンでちんすこうを購入。近くのコンビニで、明治ラクトアイス・バニラを買う。そして作戦開始。ちんすこうをナイフやフォークで砕く(実はこれがなかなか難しい)。そしてアイスにナイフで断層を3つくらい作り、各断層に、粉にしたちんすこうをまぶして、埋め戻す。わたしは、いったい何をやっているのか。その後、家族は、食べてくれたようだ。鎮魂というものに多少は繋がったのか。

 

教訓・・・家族が楽しみにしていそうなもの、決してたべるべからず。

 

電車、もたれかかり・・・飛んでいる鳥も落ちるほどに暑い日、電車の中、午後。ギターかチェロのケースを抱えた女子高生が、眠りながら思い切りもたれかかってくる。心は深海の彼方。マラソンランナー川口選手みたいに疲れ果てた様子。しかし、ずしりと重い。華奢にみえるが、とにかく重いのだ。日頃、みなさまに多大なご迷惑をおかけしている我が身を思うと、 はねのけるわけにもいかず、ひたすら耐える。これも、熱すぎる太陽が遠因であろう。

 

教訓・・・ひたすら耐えるべし。体幹を鍛えるべし。

 

9月、600人程を前にしたゴスペルコンサート参加のなりゆきとなる。朝から区民ホールにいき、2時間ほど段状の舞台を組み上げる。50本ほどのマイクを準備。舞台監督やバンドマン、音響技術者までやってきた。午後1時からは2時間ほどのリハーサル。

 

この時点で半死状態である。帰っていい?と仲間に聞くが却下される。午後4時半から本番開始。2時間弱歌い、時には歌うふりをし、無事に終了した。その後、1時間強かけて撤収作業。疲労困憊、へろへろになったが、疲れ過ぎて食欲もない。身体がとりあえず求めたものは、アイスラテであった。甘味とともに、五臓六腑、腰、枯れた喉に沁みいってきた。ダンケルクで英国軍が救助船に乗り込むように、萩原朔太郎が寂寥を求めるように、阪神ファンが過去の優勝シーンの記憶に歓喜するように。

 

教訓・・・音楽は体力だ、巨大構造物だ。楽屋というものを初体験。目まぐるしく複雑な舞台や、膨大な人間がかかわる紅白が演じられるNHKホールの舞台ウラはいったいどうなってるかいるのか? 次回はもっと歌い込んで、歌を血肉化しなくてはならない。口パクの時はとりあえず笑顔で。コーヒーは、ベースキャンプだ。

 

夏が終わる。

 

『夕顔の

花の明るい背戸(せど)へ出て

そっと踊りの真似をする。

 

藍の匂の新しい

ゆかたの袂は

うれしいな。

 (金子みすゞ「たもと」より抜粋)』

 

 

 

2018年9月30日Decopachi