2018/07/25

(NO.1115) 万引き家族   Decopachi

いい大人が恥ずかしいが、本屋さんで、少年誌を立ち読みしてしまった

。国家マナー保安局(NMS)に捕まったら、チボー家ならぬ茂野家のその後の物語をどうしても読みたかったのですと白状するしかない。「メジャー2」は、単行本72冊を出した、多くの球児のバイブルである「メジャー」の続編。「メジャー」の主人公であるピッチャー茂野悟郎の子供がキャッチャーとして育っていく物語である。

「メジャー」は、以前、漫画喫茶で読み止まらず、翌日の勤務にしたたかな支障をきたした経験がある。家族問題、チーム、高校野球のしくみ・内実、米国メジャーの雇用環境、選手へのケア、イップス、野球のスバラシサなど、多様なテーマを含んでいる。なによりも、茂野悟郎の野球バカ度が次元を超えているところが好きだ。

少年野球で右肩が壊れたら、左投げになり、神奈川県大会で超エリート校から左脚を故意に深く傷つけられても、気絶するまで投げる。およそ十年後ワールドシリーズで勝つが、その後左肩を壊す。しかし、今度はバッターとして、日本球界でプレー。今でも、台湾リーグか南米リーグでプレーしているかもしれない。

話が長くなりましたが、今日のテーマは家族です。

悟郎の父はプロ野球選手。肩を壊して、バッターで再起するが、デッドボールを受けて亡くなる。その後、悟郎を育てることを決意したのは、親戚でなく、保育園の先生。彼女は、その後、悟郎の父の友人であったプロ野球選手と結婚し、彼が「父」になる。

そして、最近ヒットした映画、「万引き家族」。メジャーとの共通点は何粒かあると思う。

カンヌ国際映画祭は気まぐれだが、フランス人の視点は好きだ。パルムドール賞やグランプリ賞は、今回の97年の「うなぎ」、83年の「楢山節考」、2007年の「もがりの森」と、あまり日本で注目されていたとは言い切れないものが、ドドーンと、日本人に突き返される。みるべき視点や、見過ごされつつある鉱脈を提示してくる。今村監督以来、約二十年ぶりの、日本人監督のパルムドール獲得である。重いテーマの映画だが、狂喜乱舞し、表敬の意味もあり、いそいそと、映画館に行く。わたしは「□△※賞」にかなり弱いようだ。

「万引き家族」をみて、日本人全体像がこのようなものなのか!?と世界の人々に思われると困ってしまうが、全部を否定することはできないし、真実をこれでもかと、突きつけてくる。

是枝監督の視点はあまりに鋭く、地を這うような捉え方をする。あまりの展開に、一部残酷な場面をも通り越して、しょうがないよなあ、大変だよなあ、とすこし思わされてしまう自分は変なのか。

是枝監督は、過去に「誰も知らない」で、母親に失踪された子供たちを描き、「そして父になる」では、息子が出生時に病院で取り違えられたことを知らされる男を撮った。今回、「万引き家族」では、どうやら、子供たち、親、年金を受け取る老人は、同居してるものの血縁関係にないようだ。また、子を捨てるどころか、反対に拾ってきてしまう。この映画は、槍ケ岳のように鋭い社会・経済・家族ドラマで、内容は衝撃的だが、演出や演技力や物語力によって、やわらかく浄化されている。

フェイクニュース、分断化が世で台頭するなか、何年間も、まがりなりにもつながっていた家族。日本の真実をゴリゴリ粗挽きした映画だったと思う。年間の興行ランキングでは、ハン・ソロや、恐竜達に勝っちゃったりするかもしれない。どこの国も、家族も、個人も、多少の問題を抱えているが、とりあえず、とにかく暮らして行こう、ということか。



2018年7月23日 Decopachi