2018/05/07

(NO.1101) マダニウイルスは2匹目のドジョウになるか? 岡 希太郎

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という治す薬のないウイルス病が、マダニとともに南方からやってきます。昨年までに三重県と石川県まで遡上して、このGW中に愛知、岐阜、富山の三県に赤信号が点滅しています。5月の新緑の草原で元気になったマダニどもが観光客を待ち構えているのです。

2013年に中国で発見され、中国観光客の日本ブームに紛れ込んで大量に海を渡って来たマダニ。それまでは居なかった訳ではないそうですが、日本列島観光地化が大きく影響して、今度は外来種が堂々と大都会に直接侵入してきたのです。

ところでSFTS発見に先立つことほんの1年、2012年にアフリカ大陸で猛威を奮ったエボラ出血熱。WHOの呼びかけに応じて日本から提供された抗ウイルス薬がありました。その名はファビピラビル(商品名はアビガン)、あまり売れてない抗インフルエンザウイルス薬でした。この薬がボランティアで働いていたフランス人女性の命を救ったと話題になり、一躍現地に夢と希望を齎しました。

そこでつい先日の3月、「もしかしたらSFTSにも効くかも知れない」と、柳の下に2匹目のドジョウを探すかのように、日本感染病研究所がファビピラビルの治験に入ったとのこと。ですからこの夏マダニに噛まれて症状が出たら、治験に参加するとの意思表示が大事です。

ファビピラビルの化学構造は抗結核薬のピラジナミドと似ています。そしてピラジナミドはコーヒーの香りの主成分の1つ、ピラジン酸の誘導体です。実はコーヒーには、知る人ぞ知る抗ウイルス作用が秘められています。有効成分は3つありますが、1つ1つ別々ではほとんど効くことはありません。しかし3つ揃うと「コーヒーでうがいしてインフルエンザを予防する」程度の効き目になるのです。

ところが偶然は重なるもので、つい先日の3月に、これまた国立感染病研究所の発表で、コーヒーに含まれているカフェ酸が、試験管のなかのSFTSウイルスの増殖を抑えたとのことです。ファビピラビルとカフェ酸、いやいや面倒臭いので「ファビピラビル」をコーヒーで飲む!

さてご同輩、この夏郊外へ出掛ける時は、セブンカップの\100コーヒーを飲みながらってのは如何でしょう・・・行楽地でお試しあれ。

 

2017年5月7日  岡 希太郎