2018/03/02

(NO.1092) 縦割り医療は半端ない   岡 希太郎

筆者は今年77歳の喜寿を迎えます。69歳のとき前立腺癌が判明し、これで終わりかと思ったりもしましたが、何とか事なしを得てからは日々余生を謳歌している次第です。その1つとして腺友倶楽部会員になってからは、筆者よりも10年も20年も若くして同じ病に見舞われた人たちの悲喜こもごものメールを拝見する毎日です。ここへ来て入会者が激増しています。

TVなどで見ていますと、外科医療の現場ではロボット手術が人気のようです。初めて出会った医者に命を任せるよりも、電子機器に委ねる方が、わが命の安全が保障されると思えるのでしょう。前立腺手術ではボナンザ・ロボ君が「早くおいで」と言わんばかりに見栄を切っています。先日の読売新聞/医療ルネッサンスにも、恨み節が書かれていました。

前立腺癌治療のもう1つの手技は放射線です。筆者はこちらを選んで2ヶ月間の病院通いを果たしました。すでに定年退職していたので、病院通いは散歩の一環と思って気楽を心掛けていました。同時に現役世代の患者にとっては辛い毎日になるだろうとも感じました。癌の進行度が悪性でなければ、小線源埋め込み式で通入院日数を減らすことは可能です。

筆者にとって幸いだったのは、通った病院が全科横断的な治療を実践していることでした。最初の主治医は泌尿器科医で手術回数では全国5本の指に入るとのことでした。てきぱき迅速に診断を下して、半年を超えるホルモン療法の後、放射線科を受診することになりました。理由は「あんたの癌を切りたくない」ということで、筆者は両医の話を天秤にかけて放射線治療を選んだのです。

今になって腺友倶楽部のメールを拝見していますと、治療後何年も経てから、選んだ道を後悔している人の割合は、ロボット手術派に圧倒的に多いということに気づきます。何年たっても止まらない尿漏れに悩み抜いて、会員メールで呟くのです。それを目にした新入会員が、一旦は決心していた治療法を変更する勇気を貰ってもいるのです。

おのおの方、縦割り医療にお気をつけ召され。


2018年3月2日    岡 希太郎