2018/01/30

(NO.1085) 市民権 Decoppachi

  しみんけん【市民権】

① 〔citizenship〕 国民、あるいは市民として思想・行動・財産の自由が保障され、また国政に参加する権利。

② (アメリカ合衆国などで)国籍。州籍。 「アメリカに移住して-を取る」

(大辞林より)

わたしには市民権がないが、うちの小鳥にはおおいなる市民権がある。診察券もある。彼の栄養剤や薬を、自転車で30分ほどの動物病院にとりに行くことがあり、病院に行くと、受付のお姉さんは「高橋まもるくんですね」と、小鳥の名前でわたしを呼ぶ。保険は効かず、意外に値段が高い。近年、家族は、わたしを看病してくれたことはない。

家族は、留守で小鳥しかいないときは、暖房を付けっぱなしにしておく。また、いままで見向きもしなかった空気清浄機を買おうなどと言い始めている。2017年の国内白物家電出荷額が20年ぶりになったわけである。小鳥用ヒーターは、もちろん購入済みだ。

家族が留守のときで、わたししかいないときは、朝・晩のシートの交換、掃除、水や餌の交換などをやることになる。さらに、カゴから時々出して、運動させないとならない。しかし、まもるくんは、わたしには、あまりなついておらず、外に出してあげようと手を出すと、かじられる始末である。

鳥よ。きみは、インドのマハラジャのようなケアを受け、ニューヨークのセレブのような快適な生活を送っているではないか。きみのために薬を買いにいったり、餌を取り替えるわたしのことを、噛まないでほしい。わたしは、君のクスリ代のために、カイシャに行き、寒波に震え、ときに、大雪の日の帰路で電車スタックに涙しているのだ。焼き鳥にされてしまう遠い遠い仲間がいる一方で、きみの鳥生は悪くないものだと思う。

しかし、きみにできないこともある。旅をしたり、ココイチのカレーをふらりと食べにいったり、行きつけの喫茶店でほっこりしたり、ラーメン屋さんに行列したり、映画の米アカデミー賞作品賞のノミネート作品と受賞作の間の差に思い悩むこともなかろう。

ある雑誌が、今年を鳥の年として宣言し、鳥はすごい、と語る。とてつもない広いエリアを活動範囲とし、意外と人間っぽいほか、かなりの洞察力を持つ。また、ご存知の通り、タカが気流にのって優美に舞うなど、ヒトが想像しかできないことを、トリはいとも簡単に行う。恐竜と共通の祖先を持ち、ヒトの大先輩かもしれない。まもるくんよ、君を尊敬することにしよう。ひとまず、和平協定を結び、お互いに良い年にしよう。

 

2018129 Decoppachi