2012/02/07

(NO.420) 玉川温泉の雪崩 - 小濱綱之

 

玉川温泉は1680年地元のマタギにより発見され、位置的には秋田・岩手の県境にまたがる八幡平(火山)の秋田側にある山中の一軒宿だったが、多様な泉質と豊富な湯量と効能から本格的な湯治場として人気が高まり、長期に滞在する湯治客も多いとされる。

 

「大噴(おおぶけ)」と呼ばれる湧出口から酸性塩化物泉が毎分9,000リットル湧出、単一の湧出口からの湧出量としては日本一を誇る。大噴の下流側には湯の花を採取する桶が設置され、効能は万人に対してその効果を保障するものではないが、悪性腫瘍(癌)に効く温泉との情報が一部にあり、実際に効能があったとされる報告もあるため、「癌に効く温泉」として有名になっている。全国でも有数の湯治の名所として知られる同所は「末期癌患者もいちるの望みを託してやってくるほど」で、宿の予約は常にいっぱいだったという。

 

今回の事故は雪崩で岩盤浴用テントが押し潰され男女3人が犠牲となる大惨事となった。亡くなられた3人も癌を患っており、生きるためのラジウム泉岩盤浴中に命を落とすという悲惨な事態となった。温泉旅館は「雪崩を想定していなかった」というが、年間10万人もの湯治客が訪れるのに管理責任が曖昧な実態も浮上している。痛ましい事故が起きるたびに思うことだが、まずは事故と業務上過失の判断基準が曖昧ではないか。また、大惨事が起きて思うことだが「起きてからでは遅いのだ」という危機管理が不十分なのではないか。「・・たら、・・れば」にならぬよう常日頃、周囲に気遣い、予防・改善などの対策を講じる習慣をつけてもらいたい。

 

今回、雪深い場所で雪崩が想定できなかったというが、基本的には「傾斜面に雪が積もれば雪崩が発生する」という理屈は子供でも思い浮ぶんではないか。「今まで起きなかった、この場所で起きるわけがないなど」、裁判官じゃあるまいし、「判例がないから」などと言わないでもらいたい。

 

「安全第一、人命尊重」を実行するなら「冬季閉鎖」という決断をすべきではなかったのか。

 

 

2012年2月7日      小濱 綱之