筆者は鉄道オタク(いわゆるテツ)ほどではないが、時刻表を眺めるのが好きである。時刻表と地図は筆者にとって愛読書と言ってもよい。つまり、通常の読書と同じく、内容を把握し、想像し、考える、という行為を行うのである。うまく説明できないが、本を読んでいる時と同じ感覚というところだ。
近頃、衝動買いした時刻表がある。昭和36年10月改正の国鉄時刻表だ。このダイヤ改正は国鉄最大と言われており、改正年と月から通称「サン・ロク・トオ」と呼ばれている。この時代、未だ新幹線はまだなく、中・長距離列車はいわゆる準急、急行、特急(これらを総称して優等列車という)であり、それらが全盛期を迎えたのがこの改正というわけだ。
実際に時刻表を見てみる。
東海道線には前述したとおり、まだ新幹線はないが、現在とは比べものにならないくらいの優等列車が走っていたことが判る。
例:特急 第一こだま 東京700→横浜722→熱海817→静岡909→名古屋1113・・・大阪1330
準急:東海(名古屋ゆき)、はまな(浜松)、いでゆ(修善寺)、はつしま(熱海)、長良(大垣)など
急行:六甲(大阪)、桜島(西鹿児島)、雲仙(長崎)など
特急:こだま(大阪)、富士(宇野)、さくら(長崎)、おおとり(名古屋)、みずほ(熊本)、あさかぜ(博多)
東京から名古屋まで4時間あまりを要しており、現在の倍以上の所要時間となる。しかし、大増発されたこれら列車のスケジュールを見ていると、経済発展著しい日本の熱気と盛り上がりが眼前に迫ってくる。
現在に戻り、最近の時刻表を眺める。確かに列車は早くなり、所要時間は大幅に短縮された。誠に結構なことである。しかし、この時刻表の上で、経済発展していく社会の高揚感はまったく感じない。
ひょんなことから時代の息づかいの違いがわかるものだ。我が国に二度と斯様な経済成長はないだろうが、どうしても「あの」雰囲気を味わいたくば、お隣の国へ行けばよい。しかし、我々の世代は、相対的につまらなくとも現在の時刻表の社会で気張るしかない。
平成24年1月30日(月) 日々井々